恩師のS先生がYMCAの機関紙に巻頭言を寄せておられる。その題は「戦争を知らない若者よ、戦争に巻き込まれるな」とあり、「戦争を知らない大人達」が、日本の国を「戦争へ戦争へ」と追い立てているように思います、と書きだしている。全く同感で、現代は私と同世代かより若い世代の人たちが、緊張が増大しつつある東アジアの4つの国のトップに立っている。息子よりも若い指導者もいる。これらの4人が先に亡くなられた南アのマンデラ大統領の葬儀に参列したとは聞いていない。その志向するところは偉大な大統領とは真逆のように思えてならない。
ところで戦争を知らない世代が大半のこの国で、今年は「ゼロ戦」がおおいに話題になった。宮崎駿監督の映画でも、最近は『永遠の0』という映画も封切られている。残念ながらまだ見ていないので感想は書けないが、かつて柳田邦男著のノンフィクション、『零式戦闘機』『零戦燃ゆ1~6』(いずれも文春文庫)を読み、そして日本の戦闘機乗りの撃墜王(エース)と言われた坂井三郎氏の『大空のサムライ正・続』(光人社)などに親しんだ者としては、どう零戦を描いているのか興味のあるところだ。その坂井氏ご自身は反戦・平和を強く唱えていたという。
『青山学院と地の塩たちー建学の祈りと21世紀への祈りー』(青山学院大学プロジェクト95.・編)によれば、あとがきにおいて、このプロジェクトの責任者であるA先生がこう書いている。「・・氏は青山学院中学部を1年半で中退して海軍へ。しかし青山学院教育が彼の人生を変えたという。『真実はどんな恥部でも語らなければならない。もし歴史が国の将来を秩序づけるものであるとするならば、真実を残さねば未来を誤ると思ったからです。』これが坂井氏の『零戦シリーズ』に通底する歴史観であった。・・右翼の街宣車に脅迫されながら『昭和天皇には戦争責任がある』と発言し続けた。真実の前には何物にも恐れることなく戦争の愚かさを告発し続けた。坂井は単なる『エース』ではなかった。人間としてもまさに『エース』であった。・・」と記されている。
ご高齢の方々の直接的戦争体験の生きた証言に、謙虚な思いで耳を傾け、国家や民族間の緊張増大ではなく、平和的な共存への道を拓くことにさらに祈りと思いを篤くし、日々の小さな努力を重ねてゆきたい。
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