日本クリスチャン・アカデミー(NCA)の講演会、シリーズ「今、哀しみの最前線で」の2回目に参加。裏方としてプロジェクターと携帯スクリーンの資材協力という実際的なニーズがあるので休むことができにくい。豊かな内容に比して、残念ながらいつも少人数・・・。
今回の講師は、埼玉医科大学国際医療センター精神腫瘍科教授の大西秀樹先生。1986年横浜市立大学医学部卒の精神科医で、藤沢病院精神科、横浜市立大学精神科講師、神奈川県立がんセンター精神科部長を経て、2006年埼玉医科大学精神腫瘍科教授に、2007年から現職。専門領域は精神腫瘍学、死生学。テーマは、「愛する人をなくして 遺族外来の現場から」という主題での素晴らしいお話であった。
チラシには、「永年生活を共にしてきた家族を失うことは、その時の悲しみだけではなく、直後からあるいは年月を経て心の変調をもたらします。終末期の本人だけではなく、家族がこれとどう向き合うかをご一緒に考えます」と書かれており、また先生の紹介には、「患者家族のための『家族外来』、そして見送った家族のための『遺族外来』。これらの働きに先駆的に取り組み、人々と出会ってこられた」と書かれている。その出会いと別れが日常的に繰り返される「緩和ケア病棟」において、生と死を見つめつづけ、年間約100人もの患者さんとの別れと、その数倍の遺族との厳しい関係を、率直にお話し頂いた。
精神科医の先生は、心のケアの重要性を様々な局面で痛感されてきたという。人は肉体的な傷や疾患で苦しむだけではなく、心が壊れてしまうような重い悲しみを背負っており、心のケアを失えば人生そのものが変わってしまう。末期癌という患者さん達の限りある命を精一杯支え、苦しみ嘆き、その喪失感と痛みを克服できない家族や遺族の傍らに立ち続ける。先生が出会ってこられた多くの患者さん達の実際の人生をお聴きしながら、私たちも出会い、別れてきたたくさんの方々とのことを思った。幸いなことにキリスト教は、死の問題を私たちの人生の重要な事柄として、直視し向き合う宗教である。だが日本人の多くはまだまだ死を人生の一部と捕えられないという。死を考えることは、生を大切にすることである。キリスト者のお医者さんの活躍にエールをと思った。
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