23年前の秋、釜石湾に臨む小さな尾崎白浜漁港の岸壁で小魚を釣っていた。そこで偶然出会ったのが漁師のSさんである。遠野から釜石に赴任する前に一番先に友人になったのは漁師であった。以来ワカメ・ホタテ・牡蠣の養殖漁業の様々な経験をさせてもらい学びと楽しい時を過ごした。また自家消費分のワカメを分けてもらい、「会堂建築ワカメ」として新会堂建築では大いに貢献してもらった。3年前の大津波で友人たちは海の財産を根こそぎ奪われた。岩手沿岸の諸教会、幼児施設の支援とともに漁師の友人たちへのささやかな漁業復興支援も続けている。
昨年からワカメの生産が再開された。春の遅い三陸では寒風に吹かれながら、大きく育った養殖ワカメの刈り取りが始まる。幹縄に巻かれた種付きのロープ、そこから芽が出て根が育ち、幹縄の下へと葉が成長を続ける。種巻きだけは人工だが、その後三陸のワカメは農薬も使わず、もちろん科学肥料も必要ない。豊かな広葉樹の森林から流れ出る栄養豊富な河川水が海水と混じり合い、そこで育ってゆく。ミネラルの豊富な天然食物、生活習慣病予防に効果があり、ダイエット効果や健康・長寿増進に最適の食材・ワカメはただ自然の力だけで成長してゆく。
さて収穫してきた生ワカメは岸壁で待つ家族に手渡され、直ぐに大きなお風呂のような釜で茹でられる。時間にして1分弱、茶色っぽいワカメが鮮やかな緑色に変化する。それを再び冷たい海水に通して荒熱を取り、水気を切ってから大量の塩をまぶして漬け込む。次に軽く水気を切ってから、1本1本手で取って中芯と呼ばれる茎を抜き出す「芯抜き」作業を行う。その芯抜きしたワカメを土俵袋と呼ばれる絞り袋に詰めてプレス機にかける。圧力をかけて圧縮し水分を絞り出す。そして最後に小袋に詰めて三陸産の「塩蔵ワカメ」が完成する。その塩蔵ワカメは冷蔵庫で半年以上保存できる。
被災した友人たちの「復活のワカメ」を新生釜石教会に代わって諸教会にお求め頂いている。新生釜石教会は修築が終わったばかりでまだ余力がないからだ。献金を含めての「復活のワカメ」は、新生釜石教会と新会堂建築に取り組む宮古教会、被災支援活動等のために大いに貢献する。できるだけ多くの教会・方々に協力頂けるようにと励んでいる。
0 件のコメント:
コメントを投稿