GWの後半は3日の「憲法記念日」から再スタートである。天気予報では好天が続くとされているが、現実の「日本国憲法」を取り巻く環境は暗雲が垂れこめているような状態である。
3日の朝日新聞では大きな紙面を割いて、憲法を取り巻く諸状況を丁寧に取り上げている。現政権の集団的自衛権容認の問題、9条の平和主義の理念、その他様々な問題を提示し、分かり易い解説も掲載されていた。その一つが「一からわかる立憲主義」という頁である。立憲主義の意義と役目は、①権力者も憲法に従い統治、すなわち権力者を縛ることだ。②憲法で権力を分立させ人権を保障。国家権力を集中させないこと。③多数決だけで人権を守れない恐れがあるので、多数決で決めてはならないことを憲法で線引きし、少数者の人権を守る。ということを歴史的にも検証している。自民党の改憲案や現政権の発言などは、これらの大事な諸原則を意図的に否定し破ろうとしているように思える。
ところで上の③の少数者の人権では、最近の国内状況はとても憂慮すべき事態が増大しているように思われる。具体的には「差別」の問題だ。差別は私たち自身の内側にも存在する事柄である。その内なる差別体質を正直に受け止めながらも、どうしたら差別という「隔ての壁」(エフェソ2:14)を克服し、異なる他者と共に生きられるかを日々問われている。ここ新宿区でも行われる「ヘイトスピーチ」のデモや、いくつかの所で散見される「Japanese Only」の問題は遠い世界の事ではない。過剰な熱気で迎えられた2020年の東京オリンピック開催だが、世界中から人々を招こうとするその開催地で、異なる他者への嫌悪と排除の動きが広がっていることは問題である。身近な憲法問題がここにある。
同じ日の別な紙面には、「『食肉』めぐるドキュメンタリー映画、差別問い学生が上映会」という記事が載っていた。立教大3年のH氏が6日に多摩市立永山公民館で開く、映画「ある精肉店のはなし」の紹介である。H氏はこの映画を観た経験から、と畜業への差別を知り、差別を糾弾するのではなく、この映画のように、小さくとも現実を訴える力が社会を変えるのだと感じて上映会を企画したという。知る努力を放棄したら改善は難しい、との意見も私たちへの問いかけである。